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2017/05/27

語り屋と君:神様と二つ杖②

やぁ、目を覚ましたかい?
気分はどう?





ふふ・・・・それは何よりだね。
さぁ、ならさっきの続きを話そうか?





あぁ、神様と二つ杖の話の続きだよ
しっかりと僕の声に耳を傾けて。
・・・・お話の始まりだ。









*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*



神様と二つ杖







だがある日の事だ。





 

様々な神様が大騒ぎをしていて
何事かと神様はその場に駆けつけた。








「お前は来ない方が良い!」









そう言って神様を止めたのは
この間、神様に声をかけたもう一人の神様だった。

 





 

神様は不思議に思った。
でも何故か同時に・・・
何か良からぬ事にも感じた。












それが神様特有の不思議な力からだったのか
それとも目の前にいる
もう一人の神様の苦しそうな表情がそうさせたのか。
何一つ定かではないけれど
それは恐ろしい予感という感覚だった。













必死に止めるもう一人の神様を押しのけて
神様は進むべき方向に向かった。









途中、何度も何度も
もう一人の神様は神様を止めようとした。
実際には服を掴まれて少し破けてしまった。











だけども神様は止まらなかった。
自分の中に生まれた
恐ろしい予感を否定したくて・・・
そんな不安を払拭して
自分ですらも気付かない内に生まれていた
小さき者達への疑心を振り払うために。










無心になって走ったお陰で
視界はすぐに開け
その先はもう下の世界だった。

 

 






 

だけどその光景は昨日とは違った。
いつも穏やかに暮らしていた小さき者達の世界が
真っ赤に染まっていた。

 








 

最初、神様は事態が掴めなかった。
何が起こったのか解らなかった。










「共食いしているんだよ」










もう一人の神様は大きく溜め息をついた。
そして少しだけ下に目を向けて
すぐに嫌そうに目を逸らす。












真っ赤に見えたのは小さき者の流す血だった。
よく目をこらせば
あんなにも可愛かった小さき者達は
同じ姿の小さき者を無残に食べていた。











二つの小さな杖を器用に使って
同じ姿の小さき者を捕食していたんだ。
昨日はその杖を器用に使って
他の小さき者を抱き締めていたはずなのに。

 








 

「だから言っただろう・・裏切られると」

 








もう一人の神様がそう言う。
悲しみ、言葉を失くして震える神様に向かって
追い討ちをかけるように。

 







 

だけど神様にはその声は届かなかった。
目の前の出来事に夢中だったんだ。
あんなにも可愛かった者達が・・・
自分があんなにも愛していた者達が
こんな事になるなんて思ってもみなかったから。

 






 

放心したままの神様を見て
もう一人の神様はまた溜め息をついた。
だけど今度の溜め息には
少なからず神様を憐れみた気持ちがこもっていた。

 




 

 


それからと言うものの
天上で神様達は何度もこの問題を解決するために
集まっては話し合いをした。
いっその事、ひとおもいに小さき者を滅してしまおうと誰かが言った。
だけどそれは嫌だ、と何人かの神様が否定した。











そして出た苦肉の策はこういった物だった。





攻撃的な小さき者と弱い小さき者を分ける。
そうすれば片方で共食いが起きても
片方では共食いが起こらないだろうと。
その意見に小さき者を愛でた神様は反対したが
「では何か他にいい案を」
そう言われればどうにも出来ず従うしかなかった。












不公平にはなるが、一方は救われる。
これで弱き者は守れると思われた提案だった。

 








 


だけど結果は違った。
弱い小さな者達は弱い中から強い者を作って
結果同じ事・・・共食いが起きた。
何度繰り返し強い者を排除しても
結局いつも共食いが起きてしまったのだ。

 









この繰り返しにより
いつしか小さき者達は互いを抱き締める事が無くなった。
あの小さな杖はもうボロボロだった。
だから例え相手を抱き締めたくても
ボロボロにささくれ立った杖では相手を傷つけてしまうんだ。











抱き締めあう事の無い小さき者がどうなるか・・・
君は想像が出来るかな?
簡単な事だよ
繋がれなくなるんだ。












小さき者はいくら神様が新しく生んでやっても
それ以降、同じ結果を繰り返した。
もう自力では繋がれず、死んでいく他なくなった。

 







 

神様は悲しんだ。
あんなに聞こえていた美しい歌も
あんなに輝いていた大地も
何も聴こえないし、何も見えないから。
だけど神様は諦めずに何度も小さき者を生んだ。
彼らにその行為が出来ぬなら
僕がやる他ないだろうと思っていたからだ。













だけどもやっぱり共食いは無くならなかった。
どんなに神様が叱っても
神様の声は小さき者に伝わらなかったしね。

 







 

神様もどんどん疲れていったよ。
あんなに可愛い姿で、同じ可愛い姿の者の命を奪う。
そんな姿を見るとひどく憤りを感じた。
自分の可愛い者を自分の可愛い者が殺すのだから
そりゃ頭の中が混乱するし
怒りも悲しみも向ける先がないのだから。










何を言っても、どんなに自分が彼らを想って涙を流しても
彼らは聞く耳を持たないし、見る事もしないから
神様はとうとう彼らを見ることを止めた。
もう神様には耐えられなかったんだ。
あんなにも毎日、寝る間も惜しんで眺めて感じた感情は
もうどこにも存在しなかった。
それどころか下を見ない時、神様は少しだけ心が休まった。

 






 

「ほら見ろ、裏切られた」

 






 

そんな傷付いた神様にもう一人の神様が言う。
だけどもう否定する事も肯定する事も出来ない。
そうする体力や気力は残っていなかった。
第一、諦めたのだから・・・
正直裏切られていようと問題はなかった。












「お前がそんな態度だから裏切られたし、裏切った」

 












もう一人の神様はまだそんな事を言う。
こんなにも尽力して、疲れきっている彼に向かって。
抵抗する事の無い者に対しては、もっとも非道な行いだ。
傍目に見ていれば・・正直、嫌な奴。












だけど神様はその一言で大粒の涙を溢した。
どうしてだか解らないけど声を張り上げて泣いたんだ。

 








 

「そう・・・君の言う通り・・・僕がいけなかったんだ」












そして何故だか神様はもう一人の神様の意見に肯定した。
今まで我慢していた涙はいつしか血の様に赤く流れた。
だけど神様は泣くのを止めなかった。
天上の美しい白の世界に似つかわしくない色だったけど
もう一人の神様はずっと見守った。
どうしてだかは解らないけど、見放す事無く見守っていた。








神様はいつまでも泣き続けた。
そしてやっぱりもう一人の神様は見守り続けた。
どうしてだかは・・・解らなかったけれど。











*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*
 

 
 


・・・ふぅ・・・・これでこのお話はお終い。
あれ・・?なんだ、この結末が不満かい?







え・・・あぁ!意味が解らないのか!
うんうん、それで良いのさ。









え、いや・・・怒らないで・・・別にバカにしている訳じゃないよ?
まぁ良いから僕の話を聞いてくれるかい?









このお話はね、一種の戒めの話なんだ。
諦める事への戒め、自分自身の了見の狭さへの戒め
相手を思い遣る心を無くす事への戒め
相手に思われている事に気付かない事への戒め
そして、愛を見誤らない事への戒め
その何れも失ってはならない、という戒めの話なのさ。











だから考えるべきなんだ。
この話が何を戒めているのか
何を伝えたいか、をね?
だから始めは解らなくていいんだ。
考えることから始まる物語なんだから。









そう聞くと何となく解ってもらえるかな?
僕が君に伝えたかった事を、さ。












君が求めていた物は埋まったかい?
失くしたパズルのピースは見つかった?










あ、僕はそろそろ行くよ。
君と同じく、求めている人が居るから行かなきゃならない。
お話は終わった、後は君がしっかりピースをはめてあげてね?











あ・・・最後に僕からメッセージを送っておくよ。











どんなに大事な物があっても、それは自分自身ではないから
自由に、時には勝手に形を変えてしまう。
だけどそれを止める事は出来ないんだ。
だからこそ、周りの大切な人の言葉に耳を傾けて?
そしていつもあらゆる可能性を考えて。
ひとつの感情に縛られる事は自分を洗脳してるみたいだ。
他のものが見えなくなってしまう。
大事な物は君だけでは守れない事をいつも考えて。

 







 

・・・君は神様の様に哀しい想いをせずに暮らせますように。

 

 

祈りをこめて、語り屋より











それじゃ、良い夢を。

 


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2011/06/13 語り屋と君 Trackback(0) Comment(0)

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