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2017/04/25

ある日の青い猫の広場①

ある日の青い猫の広場









”うーん、今日は良い天気だなぁ・・・”



 

 

たくさんの人が行き交うこの国は”あの子”と出会った素敵な国。
いつも僕のお話を、目をクリクリと丸くして熱心に聞いてくれる可愛いあの子の故郷。
その街の中心にある、青い猫の広場は名の通り本当に”広い場所”
円周に色とりどりの店が並んで、その中心にはとっても”可愛い”噴水がある。
人々は噴水の縁に座ったり、時々水浴びをしたりして自由に過ごして
”まるで世界の中心”そんな印象そのものだ。
そんな平和な光景を目玉に焼き付けながら、僕は伸ばした手でドアノブを引く。

 


コキンコキーン♪

 


変わった音色のドアベルが揺れて音を奏でると、店主がニコっと笑い掛けてくれる。
僕は店主のこんな優しい笑顔も含めて、ここのお菓子が大好きさ。
店内は淡い黄色のピンクの縞模様の壁と、子供が好きそうな可愛いお人形が飾ってあって
どれもこれもが店主の”愛”に包まれている。
だから僕も微笑みを湛えながら、挨拶をするんだ。

 

 

「語り屋さん、いらっしゃい!」

 

 

「やぁ、今日も色んなお菓子を見せてもらっていい?」

 

 

「あら?あんなにあったお菓子、もう食べちゃったの?」

 

 

店主が思わずびっくりした顔をする。
あんなに買ったお菓子、それを買いに来たのは”つい4日前”
そりゃあ、驚くのも仕方ないんだけど・・・。
しょうがないんだ、ここのお菓子は最高だから。
僕の好きな、愛らしい店内をぐるりと見渡すと自然と笑みが漏れる。

 


「ここのお菓子、美味しいからつい手が伸びちゃって。
あ、でも僕一人で食べた訳じゃないよ?
僕の大切な人達にも分けて歩いていたら、いつの間にか無くなっちゃうんだ。」

 

 


「あ、あっははは。そう、それは語り屋さん”らしい”わね?」

 

 


「ふふふ、そうでしょう?僕の好きな人達には、僕の好きな物を分けてあげたいからね。」

 

 


「語り屋さんは本当に飽きないわねぇ・・。好きな人なんて”たくさん”居るでしょ?」

 

 

「うん、たくさん居るよ。人や動物だけじゃないけど・・・
草花はお菓子を食べないから、まだマシな方さ。」

 

 

「もう、何言ってるんだか・・・・。猫にマカロン、あげちゃいけないって言ったでしょ?
あの子達は歯を磨かないんだから、甘い物は厳禁よ?虫歯になっちゃうわ。」

 

 


「大丈夫、僕がお菓子をあげて・・・彼らが食べた後はちゃんと説明するから。
今じゃ皆、自分でちゃんと歯を磨いているし、逆に感謝されてる位。
あなたにも見せてあげたいよ、リスさんの歯磨きは一番可愛いんだ。」

 

 


「・・・・語り屋さんって、本当に不思議な人ねぇ・・・。」

 


「ふふふ、よく言われるよ。」

 

 


店に入って、こんな風に店主と会話の花を咲かす。
甘い匂いに包まれて、自然にお互いが笑顔を溢して、店全体が楽しげな空気になるのも好き。
だから僕は美味しいお菓子と、この楽しいひと時を目指してココに来るのさ。
店に入って右を向いた所には、いつも一番初めに買うお菓子が置いてある。
誰にあげても喜ばれる、色んなフレーバーと色が面白いキャンディだ。
その次はそのすぐ横、控え目な甘さが人気のフィナンシェをカゴに突っ込む。
数は毎回考えて買うんだけど、美味しいからすぐに無くなっちゃって
毎回”もっとたくさん買えば良かった”って後悔するんだ。

 

 

「ねぇ、語り屋さん?そういえば昨日の晩ね・・・
前に話してた”バイオリン弾き”がそこの広場に来たのよ。」

 


いつもの様に、棚に並んだ数少ないケイジャーダを”ラッキー”と思いながら手に取ると
突然店主が暗い顔で、そんな風に声を掛けてくる。
僕も一瞬胸がドキンっと波打って、ケイジャーダ片手に店主の顔を見上げる。
ケイジャーダはとっても人気で、いつもすぐに無くなってしまうから・・・
早くカゴに入れてしまいたかったのだけれど・・・どうしても無視は出来なかった。

 

 


「昨日演奏会をやっていたのかい?あなたは見た?」

 

 

「えぇ、うちの子がね・・・どうしても聞きに出たいって言うから行ったんだけど・・・」

 

 

「それで?・・・・一見、あなたは変わった様に見えないけれど・・・」

 

 

店主が見た、と言った”バイオリン弾き”とは・・・きっと”宵闇の演奏家”の事だ。
ピッピも最近よく耳にすると言っていたし、ヨエルも噂は知っているみたいで
この街の中でもよく飛び交っている”不思議な二人組み”の話。
僕も少しだけ、何か感じる物があって・・・最近この青い猫の広場を訪れている。
別に人を取って喰らう訳じゃないだろうけれど、どこかで似たような物語を聞いた気がしたからだ。
そのお話・・・内容は未だ思い出せないけれど。

 

 

 


「えぇ、私は何も・・・だけど、お隣の帽子屋さんの子がね・・・
演奏会の後から、少しおかしくなっちゃってね・・・」

 

 


「うん?おかしく・・・?」

 

 


「いいえ、大した事じゃないんだけど・・・帽子屋の子、いつもはね?
朝早くから教会にお祈りに行く子だったんだけど・・・今日は起きても来ないらしいのよ。
何を言っても無気力に反応して、時々狂った様に色々欲しがるらしいの。」

 

 

「欲しがる?それって・・・噂と同じ”現象”だね・・・・。」

 

 

「えぇ・・・。まぁ、今は朝ごはんにシリアルが良い!とか今日の服はスカートが良い!とか
そんな単純で可愛らしい要求だから、問題は然程大きくも無いみたいなんだけど・・・」

 

 

「うん、たぶんね・・・問題が大きくないからこそ・・・・
人は無闇に彼らの事を恐れるんだと思うよ。」

 


「え・・・?どういう事かしら?」

 

 

「命を奪う程に凶悪な者なら、人間は直ちに危険な者を排除しようとするでしょう?
だけど、それ程に凶悪でも無かったら、色んな可能性を考えなきゃならない。
例えばただの勘違い・・・ただタイミングよくその子の性格が
成長の過程で、変わってしまっただけかも知れないでしょう?
要ははっきりしない・・・・その演奏家が悪いのか、それとも必然なる変化だったのか。」

 

 


「まぁ・・・・確かにそうよね・・・子供の性格なんて
日毎成長に合わせて、変わっていくものだし・・・。」

 

 

「だから決め付けちゃいけない。・・・・故に得体が知れなくて怖いんだ。
だけど・・・そうだな、僕は一度見てみなきゃ解らない気がするんだ。
それを善か悪か、その二つの選択肢で見るには・・・きっとまだ早い気がする。
だから、その話・・・・詳しく聞かせてくれない?その演奏家の事。」

 

 

僕がそう言うと、店主は困った顔をしながら話を続けてくれた。
演奏家が来たのは夜の深い時間・・・子供がとっくに眠りついた時間だった事。
軽やかなバイオリンの音と、冬の澄み切った空気の様なベルの音色が聞こえて
店主の家の子供が”釣られる様に”して眼を覚ましたらしい。

 


肝心の”演奏家”達は、噴水をバックに、人を集めてたらしい。
とても紳士的な振る舞いをする青年と、少し年下の華麗な少年の二人組みだった事。
名前はアーリックとダミアンと名乗っていたそうだ。
演奏されるバイオリンの音は、確かに素晴らしく今までに聴いた事がない程良かったらしい。
中でも即興で歌う少年の声は、頭の中が痺れるような甘い声で
店主も思わず子供の事を忘れて、聞き入ってしまったんだって。

 

 

 

「今日もたくさんお買い上げ、ありがとうね?語り屋さん。
来週も夫が新作のお菓子を出すそうだから、楽しみにしていて。」

 

 


「うわぁ・・・そりゃ、次も迷わずココに来なきゃいけないなぁ!
旦那さんに、”新作はたくさん作っておいて”って言っておいてくれないかい?
毎回新作のお菓子を買いそびれて、語り屋が泣いていたって、ね?」

 

 


僕の言葉に、大きく笑った店主は”早速言っておく”と言って店のドアを開けてくれた。
コキンコキーン♪来た時と同じ、変わったベルの音が鳴って、そこで僕らはお別れだ。
僕は店主を一度だけ振り返ると、店主は一度手を小さく振ってくれた。
僕は両手が塞がっていてバイバイが出来なかったので
手を振る代わりに片目を閉じて、ウィンクを飛ばしておいた。
これをすると、ピッピはあまり良い顔をしないけれど・・・とっても便利な挨拶だ。
ピッピも両手が塞がれば、きっとこの挨拶の良さを理解するに違いない。













 

 

”ちょっと買い過ぎちゃったかな・・・重いや・・・・”

 

 


一度帰って、買ったお菓子をより分けようか・・・そんな風に思って進めた足を転回させる。
今日はたくさんの色のマカロンが買えたし、僕の大好きなポルボロンも大量に買った。
あのお店には世界中のお菓子が集まっていて、季節に関係なく味わえる。
だから僕はクリスマスを待たなくても、大好きなポルボルンが食べられるあの店が好き。
お菓子を抱きかかえるこのひと時、僕はどうしようもなく自分の胸が高鳴る。
美味しい物を食べた時、それを大切な人と共有出来た時、それを想像するとワクワクするんだ。

 

 

 

”それにしても・・・やっぱりどこかで聞いた事があるなぁ、あの名前。”

 


広場の草っ原で、恋人同士が寝転がりながら互いを見つめてる。
そんな柔らかくて温かい光景を横目に見ながら、僕は家路を目指す為に足を進める。
・・・・店主から聞いた、噂の二人組み・・・アーリックとダミアン。
僕はこの二人の名前を、前にどこかで聞いた気がして思い起こす。
だけどその感覚はあったのに、どこで聞いたかを覚えていない。
物忘れが激しい僕なら、こんな事は日常に溢れる程、起こる事だ。
だから今回は、その名前を忘れないように何回も口にする。

 

 

「アーリック・・・ダミアン。アーリック、ダミアン・・・。
アーリックにダミアン・・・・アーリックとダミアン・・・・アーリックとダミアン・・・」

 








 


家までの道のりは長いから、こんな風にずっと言ってられるかな・・・。
僕が少し心配になった頃、僕の進む方向から小さくてそっくりな二人が歩いてくるのが見えた。
フラフラと不規則に揺れて歩く子と、規則正しく真っ直ぐに歩く子。
まったく違うリズムなのに、どうしてだか手を繋いで並んで歩いている子。
・・・あれはタヴィスとタヴィッシュだ。そう思った瞬間だった。

 

 

 

”あ・・・今なんて言ったっけ・・・あれ・・・・っ!タヴィスとあれ?違う・・・”

 

 

「あれ~?語り屋じゃないか!こんにちはー!!」

 


さっきまで何度と無く繰り返した”演奏家たちの名前”
あんなに忘れないでいようと思ったのに、目の前の双子の名を思い浮かべた瞬間
あの二人組みの名前がまるで泡の様に消えてしまった。
慌てる僕を尻目に、元気な声で挨拶をするタヴィス。
その後ろから、走り出したタヴィスを気にかけるタヴィッシュ。
”あぁ・・・だめだ・・・もう二人組みの名前は思い出せない。”
珍しく僕は”そんな風にして”諦めてしまう。

 

 

 

「あれ、どうしたんだよ。語り屋?笑ってるけど何か変な顔!」

 

 


「こ、こら!タヴィス、失礼だよっ」

 

 

「だって~、語り屋変な顔して笑ってるんだもん。」

 

 

「そんな事ないよ?タヴィスの見間違いさ。
・・・・ところで君達、今からお勤め?取材でもしに行くのかな?」

 

 


タヴィスは人の微細な変化に、とっても敏感だ。
僕の顔は、ほとんどと言って良いほど動かない事で知られているのに
こんな風に”変な顔”なんて言う所が、そんなタヴィスの性格を証明してる。
だけど何となく、本当の事を言うのは躊躇って、笑ってみせる。
ヨエルが言ってた、時々僕がやる”大人の顔”と言うのは、これの事なのかも知れない。

 

 

「あ、はい。昨日・・・噂の二人組みが現れたって聞いたので。
今、あっちの地区を聞き込みして来ました。」

 

 

「それでね!色んな情報を掴めたから、早速記事にする為に
ヨエルに似顔絵を描いてもらおうかなーって思って広場に来たんだよ!」

 

 

「あぁ、ヨエルも今日ココに来てるのかな?」

 


「うんっ!・・・・・・たぶん・・・・。」

 

 

「あはは・・・、やっぱり”たぶん”なんだね?」

 


「約束をするのは苦手ですから、僕達・・・・。」

 


「うん、僕も約束は苦手だから良く解るよ。
不確かな事を誓うのは恐ろしいものね。
・・・・・あっ!ねぇ?僕も一緒に行っていいかい?」

 


「え?語り屋も来るの!?大歓迎だよぉ~♪」

 


「で、でも・・・語り屋さん、その荷物大丈夫ですか?
一度どこかに置いて行った方が良いんじゃ・・・・。」

 

 

二人がヨエルと会うなら、僕も会いたい・・・そんな風に突発に思った。
考えてみたらヨエルとは随分、長い間会っていなかったし
それに”あの子”もこの間・・・”ヨエルが会いたがってた”って言ってたし。
だから目の前の双子に提案を持ちかけたけど、タヴィッシュは心配そうな顔をした。
・・・・そりゃこれだけの荷物を抱えていたら、タヴィッシュ程気配りな子はさぞ心配だろう。
だから僕は、タヴィッシュの下がった眉毛を”愛らしい”と思いながら笑いかけた。

 

 

「大丈夫、そう思うなら・・・そうだなぁ。
取り敢えず、この袋の一番上から”処分”して行ってくれないかい?」

 

 

「え・・・処分って・・・・。」

 

 


「いいよっ!上からで良いんだよね?」

 

 


「うん、一番上から崩れないように取り出してね。
そして手に取った物は責任持って”処分”するんだ。
僕には三つ目に取った物を頂戴?」

 

 

そう言って僕は大げさに腰を曲げて、背の少し低い二人に向けて紙袋を差し出した。
タヴィスは袋の中身を見ながら”わーい!”と喜んで、飛び跳ねて
タヴィッシュは遠慮がちに”ありがとう”とお礼を口にしてくれた。
三つ目に二人が手に取った、新作のキャンディを口に突っ込んでもらって
3人足並みを揃えて、また来た道を引き返す事にした。
新作のキャンディは失敗作かも知れない・・・パッケージにはこう書いてあった。
”ママに叱られた後の涙味”すごくしょっぱくて・・・僕は思わず目を食い縛ってしまった。

 

 








 

 

「あ、ヨエルーっっ!!」

 

 

 

「ん・・・?あ、タヴィスとタヴィッシュ・・・それに・・・えっ!!語り屋!!!」

 

 


青い猫の広場は名の通り、とっても広かった。
タウ達に出会った頃はオレンジ色の柔らかい空だったのに
お目当てのヨエルに出会うまでに、いつの間にかインディゴ色一色になっていた。
ヨエルを見つけたタヴィスがまた、喜びの余りに駆け寄ると
いつもの様にタヴィッシュが、それを後から追った。
僕は歩く速さを少しだけ早めて、ヨエルの声に向かって一直線に進んだ。

 

 


「やぁ、久しぶりだねヨエル。
君、元気にしていたかな?」

 

 


「・・・・・・・・っ!ひ、久々過ぎるって!
なんでココに居る事知ってて、お前ココに来なかったんだよ・・・・。
俺が夜しか来れない事、知ってるくせに・・・・。」

 

 

 

 

広場の噴水はこの街のシンボル。
水の飛沫の間には、1匹の猫と青年のオブジェ。
それはこの広場の名前に由来がある、ある物語の主人公達。
だから夜の闇の中でも、この二人の為に優しくライトの光が用意されている。
そこでヨエルは夜の間、いつも絵を描いて売っていた。
もちろん僕はその事を知っていたし、遠目に様子を伺いに来た事もあったけど・・・
直接こんな風に声を掛けたのは、随分と昔の事になってしまってた。

 

 

 

ヨエルはそれが気に入らなかったんだろう・・・僕とは目も合わさないで少し拗ねてる。
下を向いて、その表情は伺いし知れないけれど
ディディエに教えてもらったサインを知っている僕にはよく解る。
彼の頭にある”大きくて可愛い耳”が、すっかり項垂れていたからだ。
タウ達は、そんなヨエルの態度が物珍しかったのか、目をきょろっと剥いて見てた。
僕はと言うと、少し困惑した気分になって、結局いつもの様に笑った。
するとヨエルは、何か察知したみたいに一瞬こちらを向いて
怒った顔をまた歪ませて、僕みたいに笑った。

 

 

「・・・・・もう・・・・そんな事どうでもいいや!
どうせ俺が何言ったって、お前はそうやって笑うだけだもん。
・・・久しぶり、語り屋。”アイツ”から聞いてる通り、元気そうで良かった。」

 


「えへへ・・・うん。ヨエルも元気そうだね。
”あの子”とも仲良くしているみたいだったし、心配はして居なかったけれど。」

 

 

「ねぇ?二人とも、会うのは久しぶりなのー?」

 

 


眩しい夏の太陽の光みたいなヨエルの、変わらない元気な笑顔を向けられて
とっても嬉しかったから、僕は”僕らしい笑顔”で応えてみる。
するとタヴィスは僕らを少し見上げながら、声を掛けてきた。
思わずタヴィスの顔をチラッと見ると、不思議そうに眉をハの字にしていた。

 

 

「うん、すごく長い間会っていなかったんだ。」

 

 

「同じ街を行き来していて、お互いがお互いの話をいつもするのに?
なのに会ったのは久しぶり・・・・それって、どうして?
会おうと思わなかったの?会いに行こうって思わなかったの?」

 

 

「うん、大好きだからこそ会わない”時間”が大切なのさ。
僕らが薄っぺらな関係じゃない事を、僕ら自身が認識する為に必要な時間だったのさ。」

 

 

 

「うーん?薄っぺらじゃないならいつも一緒に居たいでしょ?
僕とタヴィッシュは薄っぺらじゃないけど、いつも一緒に居なきゃダメだよ?」

 

 


「そうだね・・・うーん、離れているからこそ会った時の喜びが大きくなる。
その感覚を、時々自分達で計画的に味わう事だって・・・意外に楽しいんだ。
解りやすく言うなら、パパとマンマの所に帰った日の二人の感情が”それ”だと思うよ。」

 

 

「あ・・・・・、語り屋さんの言ってる事、僕解るなぁ。
一週間ぶりに会うパパとマンマは、とっても優しくてずっと笑ってる。
・・・・一緒に住んでいた時は、あんな風にずっとは笑っていなかったもの。」

 

 


「そう言えばそうだよね?どんなに騒いでも笑ってくれるし、たくさん褒めてくれる!
でもその代わりに、最近ジルが逆になっちゃった?
寝る時はパジャマに着替えろーとか、仕事は家に持ち込むなーとか
エシャロットもちゃんと食えーとか、ポッケにゴミを突っ込むなーとか。
・・・・今考えたら、マンマみたいな事ばっかり言ってる!ジルって口うるさいなぁ。」

 

 


「ぶっ!!ジル、他人の事言えるかよ!?
あのジルが!?無精ひげだらけの”あのジル”がママみたいって・・・・
あ、あっはははは!あいつだけには言われたく無いなぁー!」

 

 


「僕らも言い返すよ?ジルもお髭、剃ったらどう?ってね。」

 

 

「そしたらねー、ジルは顔をグシャって歪ませるんだ!
それで大事そうにお髭を撫でて”これはチャームポイントなの!”って怒るの!
でも怒ってるのに、いつも恥ずかしそうに真っ赤にしてて・・・あははっ!」

 

 


「あははっ、ジルってば可愛い双子にタジタジだねぇ?
・・・・だけど、僕はジルの気持ちも解らなくは無いんだ。
二人が大切だからこそ、いつまでもお世話をしていたくなるんだ。
二人は日に日に成長していくけど、ジルにとってはいつまでも”可愛い子”に変わりなくて。
・・・だから僕は、時々こうやって・・・自分の感情をクールダウンしてる。」

 

 


「それってさ、俺の事”大切に想ってる”って事?」

 

 


「当たり前だよ。大好きで仕方ないから”そうしてる”」

 

 

「ほら、タヴィス。僕の言った事は正しかっただろう?
・・・・・大人って、きっと複雑なんだよ。」

 


「うん、タヴィッシュはやっぱりスゴイなぁ!」

 

 

柔らかいライトの光は、きっと月の生んだ赤ちゃんだ。
親の愛をしっかり注がれて、溢れて余す愛で僕らを照らしてくれるんだ。
だからこんな風に、温かくて微笑ましい気分になって
大切に想う仲間と笑いながら、無駄話に時間を使える。
長い間、時間を置いたって変わらない物。
僕らの間に流れる物がそれを証明して、僕はその瞬間を愛しいと感じるんだ。

 

 

 

愛が溢れてる、だから僕はこの子達と一緒に居るのが大好きさ。
そして出来ることならば、こんな温かいひと時を誰しも味わっていて欲しい。
僕が変わらず願う事、叶えられるかは解らないけれど・・・いつもそう願ってる。
・・・・だからこそ、”彼ら”の事が、異様に気になるのかも。
あの・・・・深い夜の闇の中で歌を奏でる”宵闇の演奏家”
街の人の噂で聞いた彼らの話からは、こんな温かい光景が見えなかった。
だからこそ、僕は彼らと出会いたいと思っているのかも知れない。
会って彼らに問いたいのかも知れない。
”君たちは、愛しい人と語り合っている?”って、ね。



















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2011/08/12 青い猫の広場 Trackback(0) Comment(0)

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