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2024/11/23

絵描きのヨエル:二人のタウ~Tavis&Tavish~


 


「ねね、タヴィッシュ?ヨエルの眉毛ってさ・・・
ジルがシャツに時々つけてる”インクの汚れ”に似てない?」

 

 

「あ、本当だ・・・・ヨエルの眉毛、インクが飛んだみたいだね。」

 

 

「こらっ!!お前ら、また俺の眉毛をバカにしたなっっ!!
せっかくモデルにしてやってんのに・・・ひでぇ言い様っ!
大体なぁ・・・この眉毛は犬の時の名残で・・・」

 

 

「犬の時だって、眉毛があるのは変わってるでしょー?
僕のお客さん家にコーギー居るけど、ヨエルみたいに眉毛なかったし!」

 

「うっるせぇええ!!良いんだよ、これは”個性”なんだからっ!」

 


「個性だから”インクの汚れ”に見えちゃったんだと・・・僕は思うけど・・・」

 

 

「タヴィッシュ・・・お前まで最近、俺に対して酷い事言うな・・・っ
くっそう・・・言ってる事が”まとも過ぎて”言い返せない・・・・っ
タヴィス、お前のせいでどんどんタヴィッシュの遠慮が無くなっていってるぞ」

 

 


「あれ?・・・・あっ!!この間の人っ!こんにちはぁ!」

 

「あ、本当だ・・・・。」

 


「って、人の話聞けよっ!!ん?・・・あ、あんたか。って、アレ?
お前らって知り合いだったの・・・・?」

 


「うん、この間仕事が入って一度お家を訪問したよ。」

 


「へぇ~、そうだったのかぁ。・・・に、してもタヴィスの懐き方凄いね。」

 

 

「タヴィスは誰に対しても・・・”あぁ”だから。」

 

 


「ねぇ、君こっちに座って!今ヨエルが僕らの絵を描いてくれてるんだ!」

 

 

「そうだよ。こいつら今は上司の家に住んでて実家に帰れないらしくってさ。
ママとパパが恋しがってるって言うから、それなら絵を描いてあげようかな~って。」

 

 

「あれ!?君、なんでジルの事知ってるの!?ねぇ、ねぇ何で!?」

 

 

「あぁ・・・”語り屋”が話したんだね!うふふっ、じゃあもう僕らはお友達だね!
君とはもーっとお話したくて、ずっとお家に遊びに行きたかったんだぁ♪
ね、ラッキーだったね?タヴィッシュ♪」

 

 

「僕は大変だったけどね。・・・・配達中、何度も寄り道をしそうになる
タヴィスの監督は、もう暫く御免したいって思ってるかも。」

 

 

「あっははは!そうだよな?広場を通る度にタヴィッシュが真っ赤な顔して怒ってる所
ここ数日間ずーーっと見てた気がするもん。いい子いい子、タヴィッシュはいい子だ!」

 

 

「や、やめてよヨエルさん・・・・。頭は大事な所だから、撫でないでって言ったのに・・・っ」

 


「何かっこつけてんだよぉ~、タヴィッシュなでなでされるの好きなくせにぃ~♪」

 


「こ、こらっ!止めろよタヴィスっ!髪がグシャグシャになるだろっ!」

 

 

「ぶっはは!はぁ~、本当こいつらって面白いでしょ?あんたもそう思う?
あはは、そうでしょう?俺もこいつらが超可愛くってさ・・・こんな風に絵を描きながら
よくこの青い猫の広場でお喋りしてるんだ。・・・・よぉっし、完成だ!ほれ見てみろ!」

 

 


「うわぁぁ!ヨエル、絵上手っ!!まるで僕ら二人とうり二つっ!!」

 


「でも、ここの角度おかしくない?・・・・骨折してるみたい。」

 


「う、うるさい・・・俺の目にはお前らの腕が骨折してる様に見えたんだよっ!
・・・うん?あんたも褒めてくれるの?・・・えへへ、そうだろう?
我ながら、タヴィスとターヴィッシュの絵は得意なんだよなぁ♪
あっ!!前にさ、練習の為に描いた二人の絵があるんだ・・・ちょっと待ってよ?
うーんと、これでも無い・・・こっちでも無いなぁ・・・あれぇ・・・?」

 

 


「ねぇ、ヨエルさん・・・一番下の絵が逆になってる。それ僕らじゃないかな?」

 

 


「えっ!?あっ!!これこれ、ありがとうな!タヴィッシュ。
っとと、これ!こっちも良く描けてるだろう?えっへへ、そうだろう?
でも・・・肝心の双子さんが気に入らないらしいから・・・あんたにやるよ!!」

 



7c44372c.jpg




 

「僕はこの絵も好きだよっ!でもタヴィッシュがさ、ポーズを間違ってやっちゃって
それに気がつきもしないでヨエルが描いちゃったから、タヴィッシュが嫌なんだって!」

 


「だ、だってっ!この絵の僕・・・まるでお猿さんみたいじゃないか・・・・」

 


「タヴィッシュ、なんでこんなポーズしたの?ヨエルがちゃんと教えてくれたのに。」

 

「解んないよ・・・・なんだか僕の指、上手く動かないんだ・・・」

 


「ぷっ・・・変な所でタヴィッシュは不器用だなっ。
ほら・・・お兄さん指とお姉さん指を曲げて・・・・あ、あんた一緒にもやってみて?
お父さん指とお母さん指と赤ちゃん指を立てるんだ・・・違う違う、お兄さん指を曲げてみ?
こうやってぇ~、こう!出来るじゃないか、タヴィッシュ!」

 


「やった・・・・僕にも出来た・・・・」

 


「これはね?どこかの国のフィンガーサインだよ。
確かね~、意味は”あなたを愛してる”って意味だよ!」

 

 


「へぇ!このポーズにそんな意味があったんだねっ♪
すごいなぁ~ヨエルは何でも知ってるんだぁ!」

 

 

「この間さ、雪の多い国で働いてたハスキーの爺ちゃんが牧場に来たんだ。
そのハスキーさんの飼い主、耳が聞こえない障害があるらしくって色々教わった。
あ、でも・・・俺の家あたりではさ、このサインってあんまり良いイメージじゃないかも?」

 

 

「・・・・・どういう事?」

 

 

「うん、あんまり詳しくはないんだけど・・・一種の人間の間では
このサインは”悪魔崇拝者”が悪魔に”愛してる”って伝える為に使うらしいって。
俺は聞いた事なかったけどぉ、ディディエがそう言ってたんだぁ。
だから・・・あんまりやんない方がいいのかもね?俺は好きだけどっ!」

 

 

「ふーん・・・じゃあ、ヨエルん家の周りじゃやらない事にするよ!」

 

 

「そうだな・・・じゃないとぉ、俺がディディエに叱られちゃう。
”また要らない事を教えたね?”って笑顔で毛を毟られちゃう・・・。
お~~~コワッ!!・・・あ、ねね?あんたに言っておかなきゃ・・・・。
あのね、今まで俺の絵に居た奴・・・今ちょっと用事で故郷に帰ってるんだ。」

 

 


「そうそう!だからヨエルの絵は暫く喋らない”ただの絵”だよ!」

 

 

「・・・・もしかしたら、永遠に喋らなくなるかもね。」

 

 


「・・・・・・それを言うなーって、言ってるだろう?俺だって、戻ってくるか不安なんだ。」

 

 


「大丈夫だよ?ちゃんと帰ってくるって言ってたもん!」

 

 

「そうだよね、ごめん・・・・。あの方は立派な方だから、約束を違ったりしないよね。」

 

 

「うんっ!立派な大人は自分の言った言葉に魂を預けなきゃいけないって言ってたもん!
だからヨエル?君がそんな風に落ち込んじゃったら・・・いけないんだぞっ!」

 

 

「・・・・えへへ、うん。そうだよなっ!絶対約束は守るよな・・・っ。
俺ってば・・・・情けないなぁ~~、こんなおちびさんに励まされちゃった。
・・・・・あっ!あんたまで笑う事ないだろぉ?俺だって、まだ人間としてはおちびさんだし。」

 

 


「人間になった後の事と、この事は別でしょう?
どちらもヨエルさんのハートは変わらないじゃないかな・・・・。」

 

 

「タヴィッシュ・・・出会った頃の遠慮をどっかに忘れて来ちゃった?」

 


「・・・・遠慮してると取材の時、大変だってジルさんが言ってたから。
タヴィスに任せてると、無駄なお喋りばっかりで大変なんだ。
だから・・・ヨエルさんへの遠慮は、新聞社でジルさんが大切に保管してくれてるよ。」

 

 

「あっははははっ!タヴィッシュってば、本当に面白いなぁ!
ヨエルと居る時のタヴィッシュは更に面白くって大好きだよぉ♪」

 

 


「これだもんなぁ~~、俺の方が大人なのに・・・。
・・・・あんたもっ!そんな生暖かい目で見つめないっ!」

 

 

「しょうがないよね~?君っ!だってさ、ヨエルって可愛いもん!
ヨエルみたいなのを~~・・・あれ・・・タヴィッシュ・・・・ジルがこの前何て言ってたんだっけ?」

 

 

「ヨエルさんみたいな方の事を”擦れてない”って言ってたね。」

 

 

「そうそう!!それだっ♪だから可愛いんだよぉっ。
君もそう思うでしょ?ね、ねっねっ??」

 

 


「・・・・・あのさ、俺コレでも人間の年だと結構大人なんだけど・・・・。」

 

 


「背丈はまだまだ小さいけどね・・・・」

 

 

「タヴィッシュ!!・・・・お前なんか嫌いだ・・・・」

 

 

「あはは!!タヴィッシュが言うのも無理ないよねぇ~♪
僕らとあんまり変わらないじゃない?ヨエルもう大人なのにっ!」

 


「くっそ・・・・お前らが子供のくせに大きすぎるんだよっ!」

 


「僕らのパパはもっともーっと大きいよ!だからきっと僕らも大きくなるよっ!」

 


「・・・この世は不公平だ・・・・ディディエ~慰めてぇ~~~!!」

 


「あははっ!また始まったよぉ、ヨエルってば甘えん坊だなぁ。」

 


「僕らの方がよっぽど大人だね、タヴィス。」

 

 

「ばーか!もう・・・・もう良いから、さっさとパパとママの所に絵持って行けっ!
もう遅い時間だし、ここの広場のライトもそろそろ消灯時間だぞっ」

 


「は~~い♪ヨエル、ありがとうねっ!!
きっとパパとマンマも喜ぶよ♪大好きだよ、ヨエルッ」

 


チュッ

 


「ヨエルさん、いつも有難うございます。
今度、記事の資料の絵も・・・よろしくお願いします。」

 


チュッ

 

 

「えっへへ・・・俺の方こそ、ありがとうな!
二人が仕事をくれるから、俺も絵描きとして自信が持てるよ。
っと言う事で、ハグのお返しを・・・・・」

 

 

「あっ!それはいらな~~い!
だって、ヨエル・・・口の周り
さっき食べたエクレールのチョコまみれだもん!」

 

 

「えっ!!!お、おいっ、それを先に言えぇぇぇえ!!」

 

 


「えっへへ!ごめ~ん!てっきりヨエルの事だから、お弁当にするのかと思ってた!」

 

 

「ヨエルさんなら、充分にあり得るよね。」

 

 

「ば、ばか!!そんな意地汚い事するわけないだろぉ!!
・・・・あ、あんたもだって!解ってるなら、教えてよっ。
・・・だ~~か~~ら~~!!そんな俺、意地汚くないってばぁ!」

 

 

「あははは!そんな所もキュートだよ!!じゃあね、ヨエル!!
それに君っ!!また遊びに来るからね~~~♪」

 

 

「それじゃあ、また・・・・。」



「気をつけて帰るんだぞ!あぁ後、ジルに言っとけ!
”俺は充分に擦れてる”ってな!!」




「あはは~♪りょーかい、了解♪」












 


「・・・・・ったく、好きな事ばっか言って帰っちゃった。
もう~、マジであいつらってば俺の事からかってばっかりだ・・・。
うん?うん。まぁ・・・・確かに嫌じゃないんだけどねっ。
あ、ねぇ?あんた、今日はたまたま通りかかっただけ・・・?」

 

 


「へぇ・・・・不思議な服装の王子様と修道服の女みたいな奴ねぇ・・・。
俺、今日は日暮れからずっとここで絵を描いてたけど見てないよ。
ここは色んな世界から色んな奴が集う場所だしさ・・・。
そういう”変わった奴”はたくさん見るけど・・・たぶん見てないなぁ。」

 

 


「うん、演奏会も開かれてる時はあるみたいだけど~
お日様が帰った後の話でしょ?・・・ここでやるなら明るい時間が多いと思うけど・・・。
あっ・・・!!ね、ねぇ・・・それってさ・・・・まさか、だけど・・・
前に画材屋が言ってた・・・変なバイオリン弾きの事じゃないよね?」

 

 


「・・・・・分かんない・・・俺も実際に見た訳じゃないし・・・。
不確かな事言って、あんたを無闇に怖がらせるのも嫌だしさぁ・・・。
・・・・え?全然怖い感じじゃなかった・・・って??
あぁ、そうなんだ・・・じゃあ思ったより悪い奴じゃないのかも!
そうだなぁ、よく分かんない事は考えても意味がないし、ね!」

 

 


「あ・・・・ライト消えちゃった。・・・・やっば、そろそろ帰んないと道分からなくなる・・・。
うん?あぁ、普段は匂いを辿って大体分かるし、目も利くんだけどさ
昨日の嵐でここら辺の匂い、全部一回きれいになっちゃったみたいで・・・。
今のうちに帰らないと、目も上手く見えなくなっちゃうから急がないと・・・っ!」

 

 

 

「あ、これ!!あんたにあげるから、持って行って!
そのポーズ下品だって言って、ディディエが嫌ってるから持っててもしょうがないんだ。
あんたはそんな風に見ないで、他の絵と同じ様に大事に飾ってやって?
えへへ・・・そういうあんたの事、俺大好きだよ!
じゃあ、あんたも気をつけて帰んなよ?バイオリン弾き探しはまた今度にして、さ!
それじゃあ、また!Salut!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

fin.............


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