コンコンコンッ!
こんにちは~、いらっしゃいます~?
あっ!やぁ、こんにちは!
あのね、僕タヴィス!初めましてっ!
そんで・・こっちの同じ顔の子はタヴィッシュだよ!
愛称はどちらもタウだよ!よろしくーっ♪
こんにちは、タヴィッシュです。
いきなりお宅を訪問してしまってすみません。
僕は、ある所で新聞の記事を書いている者です。
決して怪しい者ではありません。
どうかドアを閉めたりしないで下さいっ。
やだなぁ、タヴィッシュ!何かっこつけてんだよ?
あ、僕はタヴィッシュの書いた新聞の配達をしてるよ!
朝も夜も、色んな街を走ってる、僕の足ってすごいーっ!
良いから、タヴィスは黙ってて。話がややこしくなる。
ひっどい!!そんな言い方ないだろう?
今はそんな事より、頼まれた事を済まそう?
ほら、いくら僕らが身の潔白を証明しようとしても
怪しまれているじゃないか・・・・。
え!?君、僕らを怪しんでるの?
うそー?あの語り屋の知り合いだろう??
今更何を不思議に思うんだよっ、あははっ!
良いから、タヴィスは黙っててっ!話が進まないよ!
・・・・こっほん・・・・えっと、ですね。
今日はある人からお願いされて、届け物をお持ちしました。
絵描きのヨエルに近しい存在だ、と話せといわれましたが
誰だかはお分かりになりますか?
あぁ、良かった。ではこれを受け取って下さい。
そして受取書にサインを・・・・って、タヴィス!
受取書をお渡ししてっ!
あっ!!はいはーい♪
この受取書にサインをしてねっ!
うん、君のフルネームでよろしくっ
へぇ~君の名前って素敵だねぇ♪
こら、タヴィス!横道にそれるなよっ。
あ、えっと・・・サインありがとうございます。
それでは僕たちはこれで、失礼しますね。
えっ!!もう僕達の出番、終了ー!?
つまんな~~い!もっとお話してよーよ!
だめっ、仕事があるだろう?早くしな、テヴィス。
・・・・むぅ・・・・。解ったよっタヴィッシュ。
それじゃ、またどこかで会ったら
今度こそたくさんお話しようね♪
騒がしくてすみません。・・・・それでは。
お邪魔しました。
ばいば~~い♪
パタン・・・・・・・・・。
アロー、ご主人。
やっとご主人の手元に辿り着いた様ですね。
・・・ふぅ、あの双子・・・ここに辿り着くまでに3時間迷いましてね。
いやぁ、さすがの私も今回ばかりはお手上げでしたよ。
でも、なんとか辿り着けて一安心です。
え?あぁ・・・以前ヨエルがお渡しした絵。
あの絵と同時進行で描いていた絵があったので
是非お渡ししようと、あの双子に使いを頼んだのです。
ヨエルったら、あんなに渡すように促したのに
”恥ずかしい”と言って、あなたに渡さないんですから。
さてさて・・・今回は御覧の通り、人間のヨエルについて
何かお話しようと思っていますが・・・。
ご主人の知りたい事は?
・・・・そうですか・・・では私が勝手に語りましょう。
可愛い可愛い、ヨエルについて。
まぁ見た目は、ご存知の通り・・・目はくるっと大きくて丸く
どこか黒目がちで、まだ幼さが残っていて愛らしいでしょう?
それに彼の目は、他の人とは違う特徴がもうひとつあります。
ご主人は気付いていらっしゃいますか?
・・・・そう!彼の目は緑でも青でもピンクでもなく
それでいて、どの色も見付ける事の出来る不思議な色をしています。
あの目は光の中であろうと、闇の中であろうと
どちらとも光を吸収して、光り輝く。
犬の時のなごりが残っているので、暗闇でもよく見えますよ。
あ、ご主人?これだけは注意してください。
ヨエルには決して、眉の話をしないこと。
最近、もっぱら人間の自分が好きな様で・・・
鏡を覗いては落ち込んでいるんです。
理由は、人より短くてボサボサな眉のせい。
これも犬の時の名残なので、どうしようもありませんが・・
ヨエルは凄く気にしているので、ね・・・。
まぁ、人間の年にしたら丁度”思春期”ですから
自分の外見に悩むのは、しょうがない事でしょう。
・・・だけど、眉の話は出来る限り避けて下さい。
・・・彼、すぐに落ち込んでしまうので。
うん・・・?あぁ、いつも被っているフードですか?
あれには少し秘密があるので、公の場では外せないんです。
・・・と、言うのも・・・彼が人間になった際
何故だか大きい耳だけが残ってしまったのですよ。
恐らく・・・妖精の体だけでは対価が不十分だったのでしょう。
・・・・えぇ、反省していますよ・・・。
・・っと、いえいえ・・・これはこちらの話です。
な、なんて顔をされているのです?まるで疑心暗鬼ですね。
ふふ、私の事など気にせずとも大丈夫ですよ。
いずれ・・・解るときが来ますよ。
さぁ、ヨエルの話に戻りましょう?ご主人。
ヨエルはね、まだまだ人間の行動に慣れていないので
日々が訓練、勉強なのですよ。
洋服がジッパーであるのも、それが理由です。
手先があまり器用ではないので、ボタンは苦手なんです。
・・・以前、素敵なブラウスを誂えたのですが・・・
ボタンを留める所でつまずいて、破いてしまったので。
・・・ふふふっ、えぇ・・・本当に。
あんなに不器用なのに、どうして絵は描けるのでしょうね?
きっと、彼の強い力がそれを叶えているのでしょう。
ふぅ・・・え?あぁ・・・少し疲れているだけです。
私は絵に魂を宿す事が今の仕事ですが・・・
もうそろそろ転職をしようかな、と思っているので。
え?あー、いえいえ。そうではありませんよ。
決してヨエルの傍を離れる訳ではないです。
だけど、そろそろ・・・ここら辺の月のパワーが満ちる頃。
なので心機一転、一発勝負に出ようかなっと思っているんです。
だから日夜その準備に追われていて・・・少し疲れているんですよ。
あぁ、ご主人・・・あなたは本当に素敵な人だ。
ありがとう、その言葉ありがたく受け取り今日は帰る事にしますよ。
ヨエルについては、また彼と直接触れ合って下さい。
明け透けない彼に、きっと癒される事でしょう。
先程の双子の事は、今後もどこかで会うかもしれません。
少し騒がしい子達ですが、きっとあなたにとっても
良い友人になるはずです。
今度会ったら、気さくに挨拶してあげてください。
それでは、この絵は大事に飾ってあげてくださいね。
またの機会まで、さようなら。
Fin..... PR
2011/07/31
絵描きのヨエル
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