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2017/05/27

語り屋と君:夢を見る犬①


やぁ、こんにちは。

 

 

今日も暑いねぇ・・・ここに来るまでに溶けてしまうかと思ったよ・・・。
君は暑いのが平気?
あぁ、そっか・・・ここは色んな工夫がされているから
暑くても涼しく過ごす事が出来るんだったね。




 


僕?僕は苦手だよ・・・だってさ
あんなにジリジリ痛めつける事ないって思わない?
うん?あぁ、太陽の事だよ。
冬はあんなに優しいのに、夏の太陽は少し怖いよ。
だけど、だからこそ面白い事があったりするんだけどね。

 



 

ん?面白い事が何かを聞きたいの?
いや、僕の知り合いに青毛の綺麗な猫がいるんだけど
そいつが夏になるとジリジリに熱くなっちゃって。
だっこしてると体がぼーっとしちゃうんだよ。
彼だって熱いだろうに、僕にまでそれが移るなんて
ちょっとだけ面白いだろう?
ほんのちょっとだけ面白くて、すっごく大変。
だから太陽も少しは・・・気を使ってくれると良いんだけど。



 


 

あ、なんだよ笑わなくてもいいだろう?
だっこしなきゃいいのに、って君は言うけど・・・
夏だって冬だって、僕は彼をだっこしたくなるんだ。
変わらず大好きだから、それを示すために、ね。
だから太陽も、夏や冬にも変わらず
優しく照らしてくれればいいなぁーって、ね。

 





うん?僕らしい?そう?
君が言うなら、そうなのかもね。
なんだか君は僕の事、僕以上に知ってるみたいだ。
嬉しいな、こうやって誰かに自分を認められるのって。
ありがとう、君。

 







 

あ、ねぇ?今日も物語を持ってきたんだ。
今日もとっておきのお話だよ。
聞いてくれる?



 

 

よし、じゃあ始めるよ?
主人公は一匹の犬。
きっと楽しいお話だ。

 


さぁ、僕の物語に合わせて
君がキャンパスに描いていって。
物語の始まりだよ・・・・・・。

 

 

 










*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,.

 


夢を見る犬

 



 


”妖精のサドルをつけた犬”
そんなお話を聞いた事はないかい?
君の世界のお話で、その犬は妖精と共に暮らしていたっていう内容なんだ。
君の所の人達は、このお話をおとぎ話だと思っているみたいだけど。

 





 

この物語の主人公は一匹の犬だ。
そう、君の世界のお話”妖精のサドルをつけた犬”と同じく
彼らは妖精と共に暮らしている世界のお話さ。

 






 

その世界はとても綺麗な土地が広がっていて
目まぐるしく駆け抜ける季節が魅力的な世界。
妖精は毎日、色んな仕事をして暮らし
犬はそんな妖精の助けをして暮らしていた。
共に協力し合い、良好な関係を築いていた世界のお話だ。




 

 


ある一匹の犬は、毎日幸せな夢を見ていた。
彼は聡明な犬だったから、自分には出来ない事だと理解していたけど
それでも夢を見ずにはいられない程に願った夢だ。

 







体が眠気で重くなる時、その夢を期待して胸がときめいた。
犬である自分、だから絶対に不可能な夢。
だけど眠った後の世界では、それが容易に叶えられてしまうから。
だから彼は、眠る事が大好きで仕方なかった。



 




「本当に、君って居眠りが好きですね。
そんなに眠ってばかり居て、
いつかシェパードドッグにでもなるつもりですか?」

 









そんな彼がいつもの様に、大きな木の下でまどろんでいると
一人の妖精が、そんな風に声を掛けた。
妖精の口振りは少し冷めたていて、笑顔を湛えているのに少し怖い。
きっと、さっきの言葉は”皮肉”だったんだろう。

 






 

「うるさいな・・・ディディエには関係ないだろう?」

 










すると彼は妖精ディディエの方を見もせずに
面倒くさそうに返事をする。
伏せた顔はそのまま、耳だけをディディエに向けて。




 


「関係ない・・・・ですか。
だけど君、私との約束・・・忘れてはいませんか?」





 


ディディエは口調を一定にしたまま
彼の周りをウロウロと飛び回り、彼の背中に飛び乗った。
顔は相変わらず笑顔だったけど、その仕草はひどく乱暴だ。





 

「む・・・ディディエ、痛いよ。
そんな風に飛び乗らないでって、前に言っただろぉ?
俺の胴は長いから、腰は弱いんだよ。」









ディディエの乗った衝撃で、彼の体はビクンと跳ねた。
たまらず彼はそんな風に言って返すけど
ディディエは笑顔を崩さないまま、少し考えた素振りを見せると
何を思ったか彼の背中の毛を、思いっきり掴んでひっぱる。






 

「キャン!!!いっててててぇ!!」




 

「このサドル、君はなんの為に持っているんです?」







 

背中の毛は犬にとって大事な物だ。
人間で例えるなら、頭の毛みたいな物。
たくさん生えているけど、1本も無駄な毛がない大事な物。
それを思いっきりひっぱられた痛みは尋常じゃない。
だから彼は思わず言葉を忘れて鳴いてしまう。








 

だけどディディエはそんな事、まったくお構いなしだ。
痛がる彼に向けて、相変わらず笑顔を絶やさずに
口では冷たい言葉を投げかける。








 

「君が言えないなら私が言いましょう。
君は私達を背に乗せて、野を駆ける為にこのサドルを背に持っているんです。
お前の両親も、そのまた両親も皆そうして来たんです。
そして、先日も君は私を乗せて、隣町まで行ってくれると約束した。」





 

ディディエの喋る速度は速い・・・・それに流暢だ。
だから余計に冷たく聞こえるし
傍から見てるとまるで彼をいじめているみたい。
だけど彼自身、そう感じているかと言えば
別にそういう訳ではない様だ。

 








「あ、そうだ!そうだったな、ディディエ!
ごめんごめん、忘れちゃってた・・・」






 


彼はそう言って、慌てて体を起こすと
ようやく背中に乗ったディディエに鼻先をこすりつける。
するとディディエも目元を細めて、彼の鼻に顔をこすり返す。





 

 

その行為は彼らの間の絆の深さを表す物だ。
彼ら犬と、妖精との間の親密さを表す挨拶なのさ。
誰彼構わず、こんな挨拶はしないけど
心底、絆の深い妖精と犬はこの挨拶を頻繁にして、互いの信頼を表したのさ。

 






だから一見、仲の悪そうに見えた二人だったけど
本当はとても強い絆で結ばれた二人だったんだ。
だから、あんなに冷たく感じたディディエの表情も
すぐに穏やかな笑みに変わる。

 







「いいえ、思い出してくれたのなら良いのです。
それにしても・・本当に君は寝起きが悪いですね。
・・・・関係ない、なんて酷い言い方ですよ?」





 


ディディエは、少し悲しそうな表情でそう言うと
彼は慌てて首を曲げ、背のディディエに声をかけた。








 

「ご、ごめん!そんな事、思ってもいないって!
ディディエの事さ、俺大好きだしさ!」








 

そんな彼に対して、ディディエはニコっと笑ってみせる。
それは心底、この少しやんちゃな犬を愛しいと思っている者の笑顔だ。
こんな風に少し、とぼけてはいるけれど
ディディエは彼を好きでしょうがなかった。








 

「あはは・・解っていますとも。
君と私は愛しく思う者同士です。
さぁ、急いで下さい。
隣町で約束をしているんでね。」







 

「あ、うん!そうだったな!
じゃあしっかり、俺の毛を掴んでいて。
猛ダッシュで行くぞ!!」



 






それは彼も同じ・・・だってずーっと一緒に居たんだ。
彼がこの世に生れ落ちた日も、初めて歩いた日も
初めて池に落っこちた日も、初めて他の犬と喧嘩して負けちゃった日も。
だから掛け替えのない存在で、彼もディディエが愛しかった。

 











本当に、誰もが羨むほどに絆の深い二人。
だから時々はディディエが冷たくする事もあるし
彼がディディエに悪態をつく事だってある。
絆があるからこそ、互いに自然でいられたし
それを他人は”親愛”だと感じる。
そんな素敵な関係だった。

 



 





だけど・・・ディディエはある事を心配していた。
それは最近、彼が異常なまでによく眠る事だ。
寝る事は悪い事では無いけれど・・・・
そのせいで常に寝ぼけているみたいにボケっとして
さっきみたいに約束を忘れてしまったり。
寝起きが悪くなったのも”彼がよく眠る様になったせいだ”と
ディディエは、心配していたんだ。

 










昔はそれこそ、元気の良いやんちゃな犬で
外に遊びに行ったら、なかなか帰ってこなかったし
色んな虫を捕まえては・・・要らないと言っても持って帰ってきていたし。
他の犬と遊び場を取り合って喧嘩して
血みどろになって来た日もあったし・・・
シェパードドッグはスタイルが良くて
同じ犬なのに自分とは全然違うって・・・
あんなにキラキラした瞳で・・・
毎日話してくれたのに。

 






 

今では、何一つやらなくなってしまっていたんだ。
昔から変わらないのは・・・・食べて寝る事だけ。
来る日も来る日も、食べて眠るだけ。
だからディディエは心配でしょうがなかった。











だけど・・・だけどね。
その疑問を気軽に口にする事を、ディディエは良しとしなかった。
他の事はいくらでも彼に言うけれど・・・・
どうしてだか、それを聞いてしまうといけない気がしたんだ。

 






 

二人の一緒に居る時間。
それをごっそり誰かに、持っていかれちゃう気がして。
ディディエから、誰かが彼を引き剥がしそうな気がして。
だからディディエは彼に心の内を明けるのはやめようと
そう心に誓っていたんだ。







 


でもね、それは・・それは彼も同じだった。
彼もまた、何故眠りを求めてしまうのか
それをディディエに話す事を避けていた。
それをディディエに言ってしまえば・・・
ディディエに嫌われてしまうんじゃないか。
二人の一緒に居る時間・・・・
それをディディエが真っ二つに裂いてしまうんじゃないかって。
そう心配して、どうしても言えなかった。









お互いがお互いを想って、遠くなっていく。
近いけど、ちょっとづつ・・ちょっとづつ離れていく。
想えば想う程、手探りになって
どうしていいか、解らなくなる。
二人はまさに今、そんな感じだった。









ディディエは彼が心配だけど、それを聞けない。
彼はディディエに後ろ暗い気持ちを抱いているけど
それを話す訳にもいかない。
まったくの平行線で、一方通行だった。
だからちょっとづつ、二人の形は変わって行ってた。


 

 







そんなある日の事、いつもの様に夜が来て
控えめのランプの明かりがチラチラ揺れる中
彼の傍らに身を寄せて、ディディエはいつもの様に寝支度をしていた。








自分用のベッドはあったけど、彼が寂しがるから
ディディエは枕だけを持って、いつも彼のベッドで眠る。
彼が小さかった頃から、二人の間に出来たルール。
その日も、いつもと変わらない一日の終わりのシーンだった。







 

「ねぇディディエ・・・シェパードドッグは大きいよね」







 

こんな風に、彼がディディエに話しかけるのも、いつもの事。
ディディエもいつも通り、彼の言葉に返事をする。




 





「うん、そうですね。足も腕も長いし、聡明な犬ですね。」







 

枕を彼の脇あたりに立てかけて、少し高さを整える。
ポンポンと少し叩くと、上手い感じに枕が沈んで寝心地がいいから。
こんな風に彼がシェパードドッグの話をするのも久しぶりだった。
だから、ほんの少しディディエは嬉しくなった。







 

「じゃあさ、シェパードドッグはさ・・・
俺に出来ない事・・出来たりするのかな」

 








枕に出来た窪みに頭を沈めると、ディディエは穏やかに目を伏せた。
喋り続ける彼の口振りが、少し落ち込んでいる様に聞こえたけれど
彼がセンチメンタルになる事も、そんなに珍しい事ではなかったし
話の途中で眠ってしまう事もよくあったから
あんまり気にせずにいようと思った。






 

「どうでしょうか・・・場合にもよるのでは?」









 

まどろみの中で、彼の声を聞きながら返事をする。
もうそろそろ、彼はきっと眠ってしまうだろう。
そう思ってディディエは自分の意識を闇に投じようとしていた。



 






「・・・・例えばさ、絵を・・・・絵を描いたりは・・・?」

 








 

だけど、ディディエの予測を反して彼は言葉を続け
その一言にディディエの脳は、一気にまどろみから戻って来てしまう。

 






 

「絵・・・って、あの・・・・人間や、妖精の描く・・・アレですか?」

 





 

そこでディディエは気が付いたんだ。
”あぁ今日は何かが終わる日なのかも知れない”って。
だから一気に怖くなって、思わず目を開けてしまった。
だけど冷静にならなきゃいけない、そんな風に戒めても居た。



 



 

「そう絵・・景色とか、俺たちとかを紙に描くアレだよ」

 










「あれは・・・筆を持たなきゃいけないですから・・・。
犬の手では・・厳しいと思いますよ。
・・・・腕や足の長さの問題ではありません。」

 






ディディエは胸のざわめきを抑える様に深呼吸をすると
起き上がって、その場に座ってみた。
寝転がったままだと、心臓が口から流れ出てきそうで怖かったから。
その場に座って、視線を彼に向けて解ったけれど
そっぽを向いている彼の大きな耳は垂れ耳みたいに項垂れていた。
犬の耳は・・・口よりも表情よりも素直な事を
ディディエは知っていたから・・・
ディディエもまた落ち込んだ。


 









「そっか・・・・俺の腕や足が・・短いから・・・じゃないんだね」

 






 

「えぇ・・・そうですね。
君の体が悪い訳ではありません。」












 

 

そう答えた後、彼らの部屋は沈黙に包まれた。
だけど二人とも・・・別に眠ったわけじゃなかった。
お互いがお互いに、葛藤していて喋りだせずにいるだけ。
次の一言はどうしたらいい?
そんな風に考えているだけだ。
最初に口火を切ったのは彼の方。

 





 

「ごめん、ディディエ・・・変な事言っちゃったな、俺」

 





「・・・・変な事?」








 

それにディディエが答える。
ディディエが見据えるのは彼の耳。
口調は変わらないけど、やっぱり耳は伏せたままだった。






 


「こんな手じゃ、筆なんか持てない。
そんな簡単な事、俺・・・解ってたはずだったんだけど」

 






 

彼が何故、ディディエに夢の話をしなかったか。
その理由はまさに”その事”だった。
彼はずっと、人間や妖精が描く”絵”が好きだった。
その絵からは、描いた人の気持ちが溢れ出てきて
まるでその物に触れた気分になれた。
そして同時に描かれた物や人も、きっと幸せなんだと感じれた。
だからいつか自分も、好きだと思った物を描きたいと思ってた。







 

 

だけど、犬の彼には物を握る長い指がなかったから。
彼の手はせいぜい、物を両手で挟む程度の事しか出来ない。
それを理解し始めると同時に、叶わない夢なんだって落ち込んだ。
自分の願った夢が、どんなに馬鹿らしい幻だったかを思い知って
その途端に、ディディエに言う事が出来なくなってしまった。








特に彼は、他の犬より足も腕も短くて
他の犬が跨げるほんのちょっとの柵だって、彼はジャンプしなきゃ越えらない。
犬の中でさえ、劣っているくせに・・・なんて大それた事を夢見てしまったんだろう。
そう思ったら自分が恥ずかしくて、しょうがなかったんだ。

 








だけど眠った後の世界は、そんな大それた夢を叶えてくれた。
夢の中で彼の不器用な手は、魔法の様に筆を持って絵を描いた。
絶対叶わない夢だけど、眠った後の世界では叶った。
だからディディエが心配そうにしているのを知っていたけど
眠った後の世界に、どんどん夢中になってしまっていたんだ。

 

 






 

自分の言ってしまった言葉に、彼はひどく後悔していた。
言わないつもりでいたのに、何故かあんな事を言ってしまったから。
だから今すぐにでも、無かった事にして眠りにつきたかった。












*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,..,:*:,.






ねぇ、君。
お話の途中だけど・・・
今日ね、さっき言った青毛の彼が来てるんだ。
僕のポッケに入って眠っていたんだけど
君の家に入れていいか解らなかったから
彼には外の置いてあるベンチで寝てもらってる。






あれから結構、時間が経ってしまったし
そろそろ彼も目を覚ます頃だと思うんだ。
もし君さえ良かったら・・
あの青毛の彼と遊んでみないかい?











少し気紛れだけど、散歩は大好きだし
きっと君なら彼も気に入るはずだ。
だから大丈夫、心配ないよ?









うん、不思議な毛色だよ。
ちょうど夕焼けから夜に変わる頃の空みたいな色。
それにキラキラしてるし、お昼には熱くなるよ。
あはは、彼の毛って本当いつもアツアツなんだ。








よし、じゃあちょっと出かけようよ。
彼と少し散歩して、彼のご機嫌も伺わなきゃ。
やっと太陽も帰ってくれたし、風もあるから
外は随分と気持ちいいはずだよ。







忘れ物はない?
鍵はしっかり閉めるんだよ。
いたずら好きのクマさんに
キッチンを荒らされたくなかったら、ね。


















next...





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2011/07/10 語り屋と君 Trackback(0) Comment(0)

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